2021 年 21 巻 01 号 p. 38-53
本研究では,小学校外国語において,Small Talk を毎時間の授業で実施することにより,児童の発話パフォーマンスがどのように変化していくかを児童の実態から明らかにする。また,児童の英語学習に対する情意面がSmall Talk における発話パフォーマンスにどのような影響をもたらすかを検証し,Small Talk の指導の効果を高めるための活動の在り方について提案することを目的とする。岐阜市内の公立小学校A 校6 年生児童30 名(男子15 名,女子15 名)とB 校児童30 名(男子17 名,女子13名)を対象に,児童の英語発話パフォーマンスを比較した。A 校では,年間35 時間(週1 回)の外国語の授業において,授業開始直後の時間帯に毎時間Small Talk を実施し,7 月と2 月にパフォーマンステストを実施し,児童の発話内容を比較して変化を分析した。一方 Small Talk を実施していないB校でも,2 月に同様のパフォーマンステストを実施し,両校の2 月のパフォーマンステストにおける児童の発話内容を比較分析した。A 校を含む市内3 つの小学校6 年生244 名,5 年生212 名を対象に英語学習の情意面について25 項目のアンケートを実施し因子分析を行った結果,『英語学習好感』『情報伝達意欲』『英語必要感』『文字学習重視』の4 つの因子がみられた。発話パフォーマンスと英語学習情意面との関係では,『英語学習好感』の因子は「発話総語数」「話題数」「会話中のポーズの割合の変化」,『情報伝達意欲』の因子と「発話総語数」「話題数」の間に相関関係が見られた。活動を楽しいと感じることや伝えたいという意欲とSmall Talk の指導効果に相関があることが明らかになった。