2025 年 25 巻 01 号 p. 4-19
本実践研究は小学校5,6 年生の年度初めの英語授業における自己紹介の言語活動に焦点を当て, 自己表現と他者理解の側面から,名前を起点としたSmall Talk の意義と可能性を探究することである。 名前を含む自己紹介を異文化理解の視座から捉え直し,言語活動を活発化させることによって,児童 の自己表現力の向上と他者理解の深まりが図られ,異文化コミュニケーション能力の向上に寄与する と推察し成果を検証する。新年度開始後4月から5月にかけて,小規模と中・大規模の公立小学校2校 において,Unit 1の単元に関連づけ,名前の由来や名づけ文化に関するSmall Talkを含めた授業実践研 究を行い,授業観察記録,児童の振り返りシート,授業実践者(JTE・ALT)の授業振り返りジャーナ ル等の分析および授業者との協議に基づき,成果と課題について検討した。その結果,名前に関する Small Talk と言語活動の充実化を図ることによって,学習者側からは,外国語で他者とやり取りを行 う際,お互いの名前の由来やその背景ある文化を英語を介して理解することにより,コミュニケーシ ョンが豊かになる効果が確認された。授業実践者からは,名前には親の願いや文化的意味,家族の伝 統等が包含されており,異文化理解の学習素材として興味深く,異文化コミュニケーションのツール としての価値が認められた。異なる学校規模でも,名前に関するやり取りを文化的多様性の面から工 夫すれば,児童の異文化コミュニケーション能力を涵養する手立てになる可能性が示唆される。