2026 年 59 巻 6 号 p. 379-384
本邦におけるエンホルツマブ ベドチン(EV)とペムブロリズマブ(Pem)の併用療法(EV+Pem)は,EV302試験に基づき根治切除不能尿路上皮癌の一次治療として承認されたが,血液透析患者は主要試験から除外されており,安全性と有効性は十分に確立していない.今回われわれは,多発転移を認めた82歳の維持血液透析患者に対しEV+Pem療法を導入した症例を経験した.EVを1段階減量し非透析日に投与したところ,2コース終了後に肺転移およびリンパ節転移の縮小を認め,6コースまで重篤な有害事象なく治療継続が可能であった.7コース目に薬剤性皮膚障害を認めたためEV day 8を中止した.EVおよびPemは高分子で透析による除去を受けにくく,腎機能非依存的な薬物動態を示す.本症例は,透析患者に対してもEV+Pemが安全かつ有効に施行できる可能性を示す貴重な症例であり,今後の症例集積が望まれる.