2011 年 77 巻 1 号 p. 2-19
内閣府が定期的に公表している国民経済計算では一部の構成系列の推定において,四半期原データに対しベンチマーク法と呼ばれている統計的処理を行い,確定系列の公表値を作成している.本稿ではGDP推計において利用されている推計方法などを例としてベンチマーク法を巡る統計的問題と課題について考察した.特にプロラタ (Pro-Rata) 法,デントン (Denton) 法,チャオ・リン (Chow-Lin) 法など経済時系列分野で知られている主要な統計的方法を議論し,実例を用いて比較した.