林業経済研究
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1980年代後半期における農業経営階層別農林家の森林経営(自由論題論文,1994年秋季大会)
佐々木 孝昭
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1995 年 1995 巻 127 号 p. 65-70

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抄録

「経済構造調整」政策下,農林家の農業経営の分化,分解がこれまでになく進み,人工林施業から離脱せざるをえない層が多数うみだされ,農家経済を補完するための伐採を積極的に施業を実施しているものとして評価できない複雑さをもたらしている。この論稿では,1970年代の稲作減反農政下で集落内の農家間で個別的単一経営化による規模の拡大を伴った複合経営が確立され,それを基盤に経営各層が経営山林の人工林化を急速に促進した岩手県北部畑作地帯に位置する集落の状況をふまえ,1985年以降における農林家の農業経営とそのもとでの森林経営の状況を農業経営階層別に検討した。まず,集落の耕地面積と作物収穫面積,農業従事者の推移をみ,つぎに,農林家の森林施業を農業経営とその従事主体をとおしてみた。人工林施業を継続している主体は農地,山林経営規模とも比較的大きい層であるが,農業経営を維持させるための伐採も行われ,これらの階層が人工林を含む森林の育成管理を担うためには専従的農業後継者を確保できる営農組織が必要である。

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© 1995 林業経済学会
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