林業経済研究
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公有林の整備に関する研究 : 公有林運営と整備の新しい方向(自由論題論文,1994年秋季大会)
村瀬 房之助
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1995 年 1995 巻 127 号 p. 89-94

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抄録

市町村を中心とした公有林は,従来から市町村財政を支えるために運営されてきた。しかし,最近の森林の公益的機能に対する要求の高まりから注目すべき存在となった。本論文は,とくに九州地域における公有林の動向を1980年と1990年の世界農林業センサスから分析し,つぎに福岡県の主要都市(福岡市,北九州市等)と県下須恵町の市町村有林の動向,つまり運営の方針と公有林拡大整備の方法を考察した。その結果,各市町村の所有する公有林は,環境保全のために,水源かん養,保健休養機能を高めることを志向していることがわかった。その実現のために,須恵町では,県行造林の町有化,町予算と自然教育林基金(町民等からの寄付)によって私有林の購入に努めて最近10年間で約96.85haの森林を購入した。このほか,さらに50haの森林の買い入れを企図している。さらに,自治省による平成5年度からの森林の公有化推進施策,すなわち地域環境保全林・公益保全林特別対策事業も分析した。九州地域では15市町村の304haが平成5年度の事業の対象となっている。

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© 1995 林業経済学会
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