林業経済研究
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国有林野使用料算定方式の変更に関する一考察(自由論題論文,1994年秋季大会)
大浦 由美
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1995 年 1995 巻 127 号 p. 83-88

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抄録

国有林野の使用料とは民間の地代に相当するものである。現行の「改善計画」においては,国有林野内で民間活力を利用した大規模な森林レクリエーション事業を推進し,その使用料収入の増大に資することが明言され,単にこうした用途の使用許可件数の増大を図るのみならず,使用料の算定方式を変更し,引き上げを図っている。国有林野は国有財産法に規定される行政財産としての性格を有し,管理者である林野庁長官に広い裁量権がある。よって,国有林野の使用料の算定方式の決定は林野庁長官の自由裁量に任せられている。本稿では,索道業と旅館業の事例から,算定方式の変更による使用料の引き上げの傾向を示した。いずれも民間の一般的な事例と比べ,非常に大幅な地代の引き上げである。このような使用料算定方式の変更が林野庁内部の通達,訓令のみで行われており,しかも国有林野事業の財政悪化を最大の理由としている現状は問題である。

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© 1995 林業経済学会
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