1995 年 1995 巻 127 号 p. 179-184
周知の通り,中国は世界有数の古代文明国であり,中国の農業も数千年の歴史を有している。その長い開発史の中で,森林破壊によって広範囲に及ぶ裸地を生じ,特に国境に接する北西部から東北部にいたる所謂「三北」地区では,地力の衰退が進行し,砂漠化が進み,深刻な生態系荒廃の危機に直面するに至っている。この傾向を逆転させるために,森林を回復する必要があることが明かである。本論文では,かつて無立木地帯の一つであったが,その後植生が回復しつつある中国東北郡における造林緑化の事例を通じて,この地域での森林造成の現状を報告し,一層の発展が期待される森林回復の今後の課題について検討した。