1995 年 1995 巻 127 号 p. 197-201
まいたけは地域特産品として,1980年代に人工栽培が始まると天然物と同様に高値取引が期待されたが,生産量の増加につれて,価格差が大きくなり個別経営への影響が懸念されている。そこで今回はこのまいたけ経営を取り上げ群馬県下で事例調査を実施したので,その結果を報告した。まいたけはきのこ類の中では,生産者,生産量とも年々増加傾向にあり,消費面でも他のきのこに比較して堅調な価格を形成している。生産組織は会社が比較的多く,規模も大きい。しかし雇用は女子のパート労働が中心となっている。技術面では経営間の収量格差が大きく,そのため経営成果に大きく影響し,収益率にも大きな差が生じている。その要因は労働投下量の多少,資本装備と減価償却費の差,1菌床当たりの収穫量の差などが大きい。販売面では青果市場依存型の経営に比較して地元産直依存型の経営が有利な販売を展開していること等を明らかにした。