1995 年 1995 巻 127 号 p. 209-214
本研究は,北海道の一般民有林を対象に,造林補助金が与えた影響を数量的に分析するものである。本研究で考察するのは,(1)立木価格,賃金,森林資源の状態などの経済要因が森林所有者に与える影響,(2)森林資源の造成に対して造林補助金が与える影響,(3)森林所有者の所得形成に対して造林補助金が与える影響,の3点である。計測結果は,以下のとおりである。(1)森林所有者の造林活動を規定している最大の要因は,拡大造林では賃金,再造林では立木価格と造林補助金である。(2)造林補助金が森林資源に与えた影響については,拡大造林では,1974年度で造林面積の32%であり,1992年度では41%とほとんど変化してない。これに対して,再造林では,1974年度の36%から1992年度では77%にまで上昇している。(3)造林補助金が森林所有者の所得形成に与えた影響については,拡大造林では1970年代後半から徐々に低下したのに対して,再造林では1987年以後,急激に増大している。このように,造林補助金は,拡大造林と再造林では,かなりことなる形態で影響を及ぼしていることが判明した。