2017 年 63 巻 3 号 p. 12-22
1990年代以降,住宅業界からの要求の変化に合わせて国産材製材工場も設備投資などの対応を迫られ,2000年代には急速に大規模化が進展した。その中でも規模拡大工場が多く立地する宮崎県都城地域において中・大規模製材工場7社を対象に2000年代後半から2010年代前半にかけての変化を原木集荷圏,調達方法,製品の販売先などに関する対面調査をもとに分析した。その結果,①原木消費量は増加しているものの原木集荷圏は80年代から大きく変化していないこと,②年間原木消費量3~4万m3以上の製材工場で直送比率が増加したこと,③原木調達方法が多様化し中小規模素材生産業者との間で新たな直送の形態(決済介在型直送)がみられること,④製品の販売先では木材問屋に代わり商社が存在感を増していることなどが明らかになった。