抄録
本稿は学制施行期における学校林設置の背景を具体的な事例研究をもとにして分析するものである。学制が公布され近代教育制度が始まると,学校を設立した村落は膨大な教育費の負担が求められた。武蔵国多摩郡堀之内村にあった誨育学校では,教育費の財源を捻出するため学校林の設置が行われた。村落の共有地に植林を行い学校林としたのを皮切りとして,官有地の払い下げ要求を行い,学校所有の学校林を新設することにも成功した。さらに校舎新築用地として払い下げた場所まで,校舎を別の場所に新築することで学校林に編入した。そのことは,社会変動のなかで村落がその生活を安定的に継続させるため,新しい共同利用の体系を生み出したことを意味した。