林業経済研究
Online ISSN : 2424-2454
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岩手県紫波町における薪利用の実態と今後の利用可能性
泉 桂子 小田中 文哉大塚 生美
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2018 年 64 巻 3 号 p. 26-35

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抄録

特色ある地域活性化施策で知られる岩手県紫波町は2001年から循環型まちづくり政策の一環として,木質バイオマスの地産地消を進めてきた。しかし,その実態と町民の潜在需要は十分に把握されていない。そこで,本研究は同町を対象として,町民に身近な薪の利用に注目し,薪利用の実態や今後の利用の継続,および新規利用者の可能性をアンケート調査により明らかにした。調査対象世帯は選挙人名簿から無作為抽出した400世帯とし,2017年10月調査を実施し,回収率は40.8%であった。分析の結果,薪利用世帯は全世帯の13.5%であった。薪利用世帯の回答者の属性は男性で,60代以上,農業に従事し,東部地域居住者,居住年数51年以上,築年数31年以上の者が多かった。薪利用世帯数の90.9%が薪ストーブを使用し,薪を自家山林の伐採により調達しているのは利用世帯の約4割,果樹園由来の木材を使用しているのは約2割であった。現在薪を使っていない人のうち,今後薪を利用したいと回答したのは27.4%であった。

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© 2018 林業経済学会
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