林業経済研究
Online ISSN : 2424-2454
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「地域林政アドバイザー」の現状と課題
アンケート調査の結果から
福田 淳 近藤 美由紀井上 博人
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2023 年 69 巻 2 号 p. 33-42

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抄録
市町村では,森林・林業行政に関する業務が増加し続ける中,林務担当職員の体制は十分とは言い難い。このため,林野庁は,平成29年度から,市町村又は都道府県が個人委嘱又は法人委託により森林・林業の技術者を活用する「地域林政アドバイザー」(以下「アドバイザー」)制度を導入した。令和3年度におけるアドバイザーの活動実績は全国で258名となり,森林経営管理制度と森林環境譲与税の開始により,その重要性は一層高まっている。本研究では,アドバイザーの現状と課題を明らかにすることを目的として,調査時点で活動しているアドバイザー全員を対象に,アンケート調査を実施した。その結果,回答者の年齢層は60歳代以上が61%であること,専従率は63%で,専従者の42%が都道府県職員OB,兼務者の43%が森林組合職員であること,雇用者からの直接打診で就任した者が54%を占めるが,具体的な業務内容が不明であるために就任に不安を感じた者が41%いること,主に技術的助言を行いながら自らも企画・立案を行う者が30%を占めること,業務に対して満足又はやや満足している者は82%を占めることなどが明らかになった。アドバイザー業務の魅力を高めるためには,都道府県による支援の強化,アドバイザー相互の交流促進,関係者の連携体制の強化を図る必要がある。
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© 2023 林業経済学会
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