林業経済研究
Online ISSN : 2424-2454
Print ISSN : 0285-1598
森林路網における野外スポーツ利用の特徴と課題
平野 悠一郎 天野 智将都築 伸行
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2024 年 70 巻 1 号 p. 34-50

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抄録
本稿は,林道,林業専用道,森林作業道等,森林管理・経営を主目的に設置されてきた森林路網を,マウンテンバイクやトレイルランニング等の野外スポーツにおいて利用する意義・可能性・課題について論じる。設置目的や関連制度の推移と現状の整理・把握からは,森林路網が主に森林や山村地域への「アクセス」手段としての機能・価値・便益を評価されてきたこと,管理者が比較的明確でその権限・裁量が大きいこと,及び,その公共性・開放性が野外スポーツ利用を含めて曖昧であることが明らかとなった。そして,実際の野外スポーツ利用の事例分析からは,その利用者・事業者によって各種の森林路網自体が「空間」(フィールド)としての機能・価値・便益を見出されており,利用に付随した経済効果等の地域活性化の源泉となる可能性が導き出された。同時に,そうした意義・可能性の追求にあたっては,底地の権利関係の明確化,関連法規の整備,既存の枠組みの補完を通じて,路網管理者の安全管理責任リスクを軽減し,公共的な空間利用を前提とした体系的な制度構築を進める必要があることも浮き彫りとなった。
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© 2024 林業経済学会
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