抄録
雇用林業労働者だけでなく,自伐・自伐型林業者,林業一人親方を含む「林業従事者」を対象とし,このうち雇用林業労働者と自伐・自伐型林業者について,筆者のこれまでの研究業績を中心にこれまでの論点や今後の研究課題を整理した。雇用林業労働者については,「緑の雇用」の意義(職業適性の判断と強化を図る取り組み,初期教育の標準化からキャリア形成支援への発展,山村への定住支援)を明らかにするとともに,林業における人的資源管理の課題として,近年の強まる人手不足感は林業事業体の雇用戦略にも大きな影響を与えつつあること,言葉で技能を教えるスキルの向上は指導者自身の技能の向上にも寄与する可能性があること,待遇への反映のための能力評価は経営改善ツールとしても有効なこと,これらの取り組みが林業事業体の経営成績にどう表れているのか検証することを挙げた。自伐・自伐型林業者については,戦後の林家経営論レビューを踏まえたうえで,2000年代以降は,個人の動態分析(世代論),集落営林への展開,森林の環境効果への配慮の視点が重要になっていること,自伐・自伐型林業への新規参入過程に関する研究がようやく進みつつあることを指摘した。