抄録
国内の自然公園利用者の事故について,国による法制度やリスク管理システムは整備されてこなかったが,北海道ニセコ地域では,地域独自のニセコルールを策定し,スキー場外(バックカントリー)雪崩事故防止に成果を上げている。同ルールは地元のスキー場や関係者により作られた。このような複数の利害関係者が関与するリスク管理は,リスクガバナンスの概念を用いて説明できる可能性がある。本研究では,ニセコルールの成立過程や運用状況が,ガバナンス概念の特徴や,リスクガバナンスのプロセスを示す国際リスクガバナンスセンター (International Risk Governance Center:IRGC) の枠組みに適合しているかを文献・資料および関係者への半構造化インタビューにより検証した。結果,ニセコルールではガバナンスの特徴や上記枠組みの要素に該当する事実が認められたため,これら概念や枠組みは他の自然公園の事故リスク管理にも適用できる可能性があると判断した。