林業経済研究
Online ISSN : 2424-2454
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国有林における森林施業の受発注状況の分析
九州森林管理局における5年間の入札情報を基に
宮野 岳明 藤原 敬大佐藤 宣子
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2024 年 70 巻 3 号 p. 17-25

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抄録
日本の森林の約3割を占める国有林の森林施業は,林業事業体の重要な事業確保の場となりうる。2010年に国有林施業の民間委託率は100%に到達したが,国有林施業の発注と受注の実態に関する調査や議論は十分に行われていない。本研究の目的は,九州森林管理局内における5年間の森林施業の入札データを用いて,国有林施業の受発注の現状と課題を考察することである。事業体選定の入札は,一般競争と総合評価の2種類の方式があり,予定価格1千万円がその方式を区分する1つの指標とされていた。総合評価では価格だけでなく事業体の体制も評価され,労働環境に関する評価項目が設けられていた。国有林施業は,造林事業(406件)と素材生産事業(810件)が5年間で実施され,全体の約6割が1者入札で事業体が決まり,予定価格に近い金額での落札が多かった。応札者数が増えるほど価格が抑制され,一般競争の方が総合評価よりもその傾向が強かった。また,単独事業体よりも共同事業体での入札の方において1者入札率が高く,予定価格に近い入札であった。1者入札が多い現状は,入札価格の抑制だけでなく,総合評価項目である労働環境等の改善を促す動機づけになりにくいことを指摘した。
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