林業経済研究
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明治以降における「人名型屋号」の登場と集落の混在化
新潟県上越市不動地区を事例に
松村 菖 竹本 太郎
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2024 年 70 巻 3 号 p. 26-41

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抄録
本稿は,山村研究等に資するために新潟県上越市不動地区で用いられている屋号を分析したものである。先行研究における混乱も影響し,人名を用いる人名屋号の研究は非常に少ない。上瀬戸では,近世から存在する家系の屋号のうち,約8割が一般通称を起源に持つことが分かった。また,明治以降に成立した家系の屋号は多様化していたが,本家分家といったイエの系譜を示すものが最も多かった。ただし,上瀬戸は系譜屋号や人名屋号が多く,東飛山では職業屋号が多いといった集落差も認められた。さらに,「衛門」や「郎」といった近世一般通称語尾を屋号の接尾辞としても用いる事例が多くあり,注目に値する。これら「人名型屋号」は一見すると人名屋号と区別が付かないが,成立時期や由来は全く異なっていた。最後に,屋号で記憶された過去の居住場所情報や,「建物台帳」に記載された建物情報を用いて,家屋がモザイク状に混在している上瀬戸と東飛山における集落空間を復元した。その結果,1818年時点では,東飛山を二分するかたちで上瀬戸が立地しているに過ぎず,混在化の要因は,明治以降の分家居宅の建設,および昭和40年代の集落をまたいだ空き家への転居にあることが分かった。
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© 2024 林業経済学会
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