林業経済研究
Online ISSN : 2424-2454
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岩手県におけるカラマツ苗木生産の現状と課題
加藤 その子髙田 乃倫予 白旗 学伊藤 幸男山本 信次
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2024 年 70 巻 3 号 p. 42-49

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抄録
岩手県は東北地方における林業用苗木(以下,苗木)の生産本数が最多であり,全国的にも有数のカラマツ素材生産県である。近年,カラマツ材の需要拡大に伴い,岩手県の人工造林面積の約8割をカラマツが占めている。本報告では,岩手県におけるカラマツ苗木生産の実態を①苗木生産・流通の実態,②苗木生産者の実態,③カラマツ種苗に関して,④苗木生産の現状の4つの点に着目し,今後のカラマツ種苗の安定供給のための課題を検討した。近年カラマツの裸苗生産に使用する除草剤が生産終了し,生産は裸苗からコンテナ苗への移行期にある。しかし需要者からは裸苗の要望が多いことや,カラマツ苗木の本数確保のため裸苗生産は今後も一部継続される。安定供給に関する課題は,①苗木の需要が不安定で生産が過剰となり残苗が多くなること,②カラマツ種子の県内供給が追い付かないこと,③少数の大規模苗木生産者への集中による生産・運搬の負担増大の3つとなる。大規模生産者への集中は災害時の対応を難しくするリスクもある。苗木の安定供給や残苗の削減には,計画に基づく安定した造林事業の実現が重要である。さらに過度なカラマツ造林は病害による被害が生じる危険がある。
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