抄録
本稿では,林業経済学における2000年代以降の観光・レクリエーションに関する研究の動向について,①政策・研究の展開過程に関する概説,②利用の適正化に関する研究,③地域を対象とした研究,④森林空間の訪問利用に関する研究という4つの分野から整理を行った。グリーンツーリズムや国有林を主題とする研究が一定の落ち着きを見せた一方で,森林空間の訪問利用に関する研究が2010年代半ばから急速に蓄積していったように,研究テーマごとに興隆の時期に差が見られた。また,野外活動に伴うリスク管理の問題など,各分野に共通する論点も見られていた。総括すると,①各分野の研究の複合化・体系化,②観光・レクリエーション主体の多様化への対応,③政策の不備に関するエビデンスの蓄積と海外事例の参照という3つの課題に今後は取り組んでいく必要があると考えられた。