抄録
森林や林業に関わる各種の事業の財源調達等を目的に,2024年までに37府県が地方森林環境税を導入してきたが,税導入後の森林・林業に関わる財政構造がどのようになったのかに関する研究は限定的である。本稿では,2001-10年度の林業費と,その内訳に相当する目,及び財源の推移を,地理的に近接し,37府県の中で相対的に高額の課税を行った2県を含む東北4県(税導入県である岩手県と福島県,税未導入県である青森県と宮城県)を事例に,明らかにした。税導入県が地方森林環境税を導入した2006年度以降の林業費とそれに充当する一般財源の傾向は,税導入県と税未導入県とでいくつかの差があり,この差は主として林業公社に関わる目の影響によるものと考えられた。2008年度以降の一般財源の充当状況でみれば,税導入県は税未導入県に比して林業費に充当する一般財源を拡充した。ただし,一般財源を拡充した目は林業公社に関わる事業が含まれる目が中心で, 税充当事業が含まれる目や残りの目での増加はほとんどなかった。