抄録
平成の市町村合併の影響を受けて,森林組合の広域合併が進展した。しかし,地域差が見られ,複合的な要因が考えられるが,その実態は十分に解明されていない。本研究では,和歌山県の紀中森林組合を事例に,合併の意思決定に影響を与えた要因を明らかにすることを目的として,資源的要因(組合員の所有森林面積・素材生産量),財政的要因(財務状況),経営戦略的要因(林業経営方針・森林組合間の関係性・広域合併への抵抗感),内部手続的要因(協議体制:議論時間の確保),外部的要因(行政・県森連)に着目して枠組みを構築し,分析を行った。その結果,合併に同意した森林組合では,素材生産量と財務状況が共通して最も重要な要因と認識されていた。一方,合併を拒否した森林組合では,広域合併への抵抗感や現行の林業経営方針の維持意向に加え,組合内での議論時間の確保の不足が意思決定に強く影響していたことが明らかとなった。