抄録
全国の水道事業者のうち厚生労働省による2006年の調査で水源かん養林への関与がある123事業者を対象にアンケート調査を行い,水道事業者による森林管理の現状について明らかにした。水道事業者による森林への関与の形態が,20世紀中は土地所有に関係したものが中心であり,その中でも1990年代以降は市民ボランティアによる森林管理への支援,企業の社会・環境活動への協力などの新たな取り組みへと多様化したことが確認された。また,森林を所有する事
例では,森林所有開始のきっかけは,所有を開始した年代ごとに異なり,20世紀前半は林野荒廃による水質汚濁があり,1980年代は渇水によるものが多く,1990年代以降は記念事業によるものが増えていた。以上から,水道事業者による森林管理の展開に影響を与えうる社会的要因が,それぞれの地域の状況はもちろんのこと,時代によっても大きく異なっていた。