抄録
本研究では2016年1月から2023年12月までを分析期間として,国産針葉樹材製材品の需給構造を需給モデルの推定を通して解明することを目的とした。静学モデルによって変数間の長期的な関係性を分析するとともに,誤差修正モデルを導入して短期的な調整過程を分析した。需給モデルの推定においては,3段階最小2乗法を用いた。その結果,製材品の需給構造については,近年の日本の製材業における設備投資が仕上げ工程を含む部分で進んだことにより,国産針葉樹材製材品の供給力が高まったことが示唆された。需要面からは,国産針葉樹材製材品と構造用集成材の間の代替関係は弱く,製品として一定程度差別化されている可能性が明らかになった。製材品の需給量および価格の変動要因については,製材品需給量よりも製材品価格のほうが外生変数の変動に影響されやすいこと,製材品価格には様々な要因が影響を及ぼすなかで,製材工場による生産調整が製材品価格を安定させることに対して一定程度有効であることが示された。