抄録
本稿は,素材生産業の資本としての性格とその規定要因及び現段階について検討した。次の4点が明らかとなった。1点
目は,原木市場が大型木材加工資本によって寡占化され,商人的な利潤獲得機会が消滅した。2点目は,前期的といわれた立木購入は,今日は伐採対象の確保のためであり,大規模事業体ほど立木購入を行っている。3点目は,遅れた存在として残存していると見られていた小規模事業体は,むしろ普遍的に存在する。4点目は,素材生産業は地域労働市場と原木市場に規定され,自由な移動が制限される。そのため育成的林業段階では山林経営に繰り込まれる。しかし,現状の林業は採取的とも言える状況にある。素材生産業者は,かつてないほど大型木材加工資本との結びつきを強めることで,国産材供給量の増加に寄与した。しかしそれは,戦後最低水準の立木価格を前提としたものであり,結果として土地所
有の優越性を克服した形となった。素材生産業は産業資本的な規模拡大を果たしたが,それは必ずしも小規模事業体を
駆逐するものではなく,不可欠な存在として構造化されている可能性がある。