近年,ECサイトなどで推薦システムが広く活用されている.ユーザの付与した評価値が利用可能な場合,モデルが算出した予測評価値の高い順にアイテムを推薦する手法が主流である.特に,このような手法においてはレビュー文を活用することで予測精度が向上することが知られている.その代表例として,Transformational Neural Networks (TransNet)が挙げられる.TransNetは,ユーザが過去に購入または閲覧したアイテムに付与した評価値とレビュー文を活用し,未購入アイテムに対する評価値を予測する.この際,評価値予測は回帰問題として定式化され,二乗誤差などの連続値を想定した損失関数を用いてモデルを学習する.これは,評価値を複数の評価段階が等間隔に並んでいる間隔尺度として扱ってモデルを構築していることを意味する.しかし実際には,評価値は大小関係のみに意味があり,差は一定ではないため,順序尺度として扱う方が妥当である.このような背景から,本研究では,TransNetを援用し,順序尺度である評価値の特性を反映した推薦モデルを提案する.具体的には,評価値予測を包含関係のある多クラス分類問題として定式化する.これにより,評価値の間隔を柔軟に学習することが可能となり,予測精度の向上が期待できる.最後に,複数の実データセットを用いた実験により提案手法の有効性を示す.