抄録
本論は,人口減少と高齢化が著しく進んだ山村において,いかに地域に通う多様な人々とともに地域を受け継いでいく
ことができるのか,事例研究を通じ,実態を把握し,「通い住民」(二地域居住を含む)とつくる山村コミュニティの可能性を検討するものである。具体的には,地域外から地域に関わる人々の規模が居住者数より上回るようになった宮崎県木城町中之又地区の事例をとりあげ,その実態を把握する。地域の田畑や空き家管理,祭り等の伝統行事の運営といった地域の共同体として地域文化を伝承する営みがどのようにコミュニティやアソシエーションによって結ばれる多様な人々に支えられているのか明らかにすることを目的とする。山村の現状と将来を見据え,都市と山村のどちらも選択する「通い住民」との協治の実際を提示する。さらに,通い住民とともに伝承されている地域資源管理や地域文化伝承の実態をとらえ,その中に見出しうる修正拡大コミュニティと現代的ローカル・コモンズの特徴を考察する。