日本女性骨盤底医学会誌
Online ISSN : 2434-8996
Print ISSN : 2187-5669
当院における産褥1か月健診時のPOP-Qと背景因子の検討
安田 立子村越 誉吉田 茂樹本山 覚
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キーワード: 産褥, 骨盤臓器脱, 背景因子
ジャーナル オープンアクセス

2016 年 13 巻 1 号 p. 172-177

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抄録

骨盤臓器脱の危険因子に出産既往の有無、肥満などが挙げられるが、本疾患の危険因子を産褥期に焦点を当て検討した報告は少ない。今回、当院で分娩となった193例において産褥1か月における骨盤臓器脱の状態をPOP-Qを用いて評価した。また、年齢、BMI(妊娠前、分娩時)、分娩方式(経腟分娩、緊急帝王切開、予定帝王切開)、経産回数、既往分娩方式(経腟分娩、帝王切開)など骨盤臓器脱の危険因子とPOP-Q各計測値との関連を検討した。その結果、症例の約半数に解剖学的骨盤臓器脱を認めた。POP-Q各計測値に関連する背景因子の中で、経腟分娩の既往の有無が、子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤のすべてに関連すると考えられた。また、BMIの増加と子宮頸部の下垂との間に逆相関を認めた。産褥期の骨盤臓器脱背景因子の中で、BMIは骨盤臓器脱の予防因子であった一方、その他の産褥期骨盤臓器脱背景因子は危険因子であり、非産褥期女性の骨盤臓器脱危険因子と差はなかった。

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