2016 年 13 巻 1 号 p. 182-186
当科での骨盤臓器脱(pelvic organ prolapse, 以下POP)の手術は仙棘靭帯子宮固定と前腟メッシュ埋没による補強を標準としている。ただし、子宮筋腫を合併したPOPでは①増大した子宮のために通常通り頸部を挙上固定することが難しい、②増大子宮による下部尿路機能障害への治療対応が必要である、③筋腫そのものにより過多月経などの症状がある場合治療が必要である、といった問題点がある。
腟式子宮全摘とPOP手術を一期的に行うか、まず腹腔鏡または開腹で子宮筋腫の治療を行い二期的にPOP手術を行うかは、年齢・子宮筋腫の大きさや数・筋腫に付随する症状の有無などによって個別に方針が決定される。
本調査では2012年1月から2015年7月のPOP手術671例中、径5㎝以上の症候性の筋腫を伴った17症例について後方視的に治療内容を見直した。
閉経後で子宮重量の軽い症例は、一般的に筋腫温存のままで特に問題がなかった。若年で筋腫による症状がある場合は、筋腫核出もしくは腟上部切断術後に子宮頸部を挙上するなどの対応を行った。