沖縄県本島南部地域に位置する島尻地域では農業用水は小規模なため池や河川水,地下水の汲上げに頼っており不安定なものとなっている。このため,これらの地域での農業用水源のひとつとして,再生水(下水再生処理水)の利活用に着目し,新たな農業用水の水源としての可能性について検討した。再生水中に含まれる窒素を利用した窒素肥料の低減効果については判然としなかった。塩類濃度が高い処理水の散布はカルシウムの吸収を抑制することが示唆され,栽培後の土壌の化学性は再生水区で水道水区に比べEC,交換性ナトリウムの増加が確認された。施設栽培では塩類集積作用がより一層発生しやすので塩類濃度の高い処理水の利用は希釈利用が必要になる。