日本女性骨盤底医学会誌
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腹部超音波による岬角前面血管の評価
西田 純一平子 洋子原田 恵美那賀 美恵武藤 智子藤澤 佳代金城 泰幸
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2019 年 16 巻 1 号 p. 20-25

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抄録

腹腔鏡下仙骨腟固定術(Laparoscopic sacrocolpopexy: LSC)は本邦において次第に普及し、骨盤臓器脱治療の標準術式の一つとなりつつある。岬角前面は血管走行の解剖学的変位が指摘されており、メッシュ固定に際しては慎重な操作が要求される。術前に血管走行異常の有無を判断することは手術の安全性に寄与するとされ、CT による評価の有用性が報告されている。そこで、より簡便な方法である腹部超音波による仙骨前面血管の評価が可能であるかを検討した。インフォームドコンセントの得られた婦人科腹腔鏡手術症例159 例を対象とし、術前に腹部超音波検査にて岬角横径、岬角の高さでの左右腸骨静脈間距離、岬角から下大静脈分岐部までの垂直距離を測定するとともに岬角前面血管の異常の有無を評価した。手術時に岬角前面を観察し、異常血管の有無を判定した。159 例中157 例で超音波による岬角前面血管の評価が可能であった。そのうち術中岬角前面の観察が可能であったのは148 例であった。超音波による評価は術中に確認された異常血管所見との対比で、異常血管の検出感度75%、特異度100%、陽性的中率100%、陰性的中率99%であった。LSC の術前評価として、腹部超音波による仙骨前面の評価は精度も高く、簡便かつ安価であり極めて有用であると考えられた。

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© 2019 日本女性骨盤底医学会
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