日本女性骨盤底医学会誌
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腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC) におけるダグラス窩高位腹膜縫合の手技と成績
加藤稚佳子鍬田知子柏原宏美竹山政美
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2019 年 16 巻 1 号 p. 72-77

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抄録

骨盤臓器脱の手術に求められるのは再発と合併症の少ない手技である。当院ではダグラス窩の閉鎖を当初は前後腹膜を巾着に縫合し、その後にメッシュを岬角に固定していたが最近岬角にメッシュを固定した後、ダグラス窩を高位で閉鎖するようにしている。今回ダグラス窩高位腹膜縫合の施行手技を紹介するとともに、それ以前の症例と比較することにより、後方視的に有用性の検討をおこなう。 対象は2015 年3 月20 日から2018 年3 月31 日までに当院でトータルリペアダブルメッシュLSC 手術を施行した322 例。内訳はダグラス窩巾着縫合を施行した症例160 例、ダグラス窩高位腹膜縫合を施行した症例162 例であった。全症例の平均年齢は64 歳、BMI22.3、出産回数2.3 回であり、手術時間は平均168 分、出血19g であった。術前のPOP-Q、患者背景に有意差なく、手術時間、出血量で両群に有意差を認めた。 術後3 ヶ月と1 年で両群のPOP-Q を比較したところ、Aa、Ba で有意差を認め高位腹膜縫合群が良好であった。術後3 ヶ月でStage Ⅱ以上の再発を認めたのは巾着縫合群で20 例であり、高位腹膜縫合群で4 例であった。 今回の検討において短期的には高位腹膜縫合は有用であることが示唆された。

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© 2019 日本女性骨盤底医学会
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