2025 年 21 巻 1 号 p. 33-37
骨盤臓器脱(Pelvic organ prolapse: POP)症例に対しては従来、腟式手術が行われてきた。付属器を同時に切除することは困難であったが、近年、本邦ではvNOTES(Vaginal natural orifice transluminal endoscopic surgery)が普及しその課題も克服されつつある。一方、POP症例に子宮全摘出術のみを施行するのは術後腟断端脱を発症するリスクがあり、Native tissue repair(NTR)やメッシュ手術などの併用が必要になることが多い。当院でPOPに卵巣腫瘍を合併した症例に対し、vNOTESとNTRで加療し得た1例を経験したので報告する。症例は70歳、3産。臓器下垂感と排尿障害、卵巣腫瘍疑いで当院に紹介受診した。SCCとCA19-9が高値であり、9cm径の左卵巣成熟嚢胞性奇形腫と膀胱子宮脱StageⅢの診断で、腟式子宮全摘出術、vNOTES-両側付属器摘出を施行し、その後全腟閉鎖、後腟壁会陰形成を施行した。術後病理で悪性所見はなく、腫瘍マーカーは正常範囲内に低下し、排尿障害も改善した。子宮や付属器腫瘍を伴うPOP症例の外科的治療の選択肢として、vNOTES併用のNTRの有用性が示唆された。