2025 年 21 巻 1 号 p. 38-42
症例は59歳2妊2産、不正性器出血のため近医産婦人科を受診した。POP stageⅢの子宮脱、経腟超音波検査で子宮内膜肥厚を認めたが子宮内膜組織診で異常所見を認めなかった。リングペッサリーによる治療を行ったが自然脱落となり手術目的に当科紹介となった。当院で追加で施行した子宮鏡検査では悪性疾患を示唆する所見を認めず子宮内膜ポリープと診断した。POP stageⅢの骨盤臓器脱に対してロボット支援下仙骨腟固定術(Robot assisted sacrocolpopexy: RSC)を行い、子宮内膜病変を認めたことから子宮全摘術を併用する方針とした。子宮全摘術および両側付属器切除術を施行し、腟管を単結紮縫合後、前壁メッシュを留置し手術終了とした。術後3日目に発熱、血液検査で炎症反応上昇を認め、画像検査で腟断端感染と診断した。抗菌薬加療を行い、術後16日目に退院となった。最終病理診断は類内膜癌stageⅠA期であった。子宮体部病変を認めるRSC症例では、十分な術前精査を行っても偶発的に悪性腫瘍を認める可能性があることを情報提供する必要がある。またRSCで子宮全摘術を併用する場合は、腟断端の縫合方法を工夫することで術後感染を減らす可能性があると思われた。