日本女性骨盤底医学会誌
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全腹腔鏡下子宮全摘術(TLH)後に膀胱腟瘻を来した1例
藤本 茂樹清水 彩理齋藤 研祐嘉村 康邦吉村 和晃
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2025 年 21 巻 1 号 p. 96-101

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抄録

 症例は48歳、4妊3産の女性で、多発子宮筋腫に対して全腹腔鏡下子宮全摘術(total laparoscopic hysterectomy: TLH)を行った。3回の帝王切開術既往があり、膀胱と子宮が強固に癒着していたため剥離操作に時間を要したが、有害事象なく手術を終了し術後4日目に自宅退院した。

 術後2週目より水様性帯下を認めたため当科を再診した。膀胱内にインジゴカルミン含有生食を注入したところ、腟内への色素流出を認めたために膀胱腟瘻と診断した。

 Foleyカテーテルにて自然治癒を試みたが軽快せず、術後76日目に経腟的膀胱腟瘻閉鎖術を行った。

 14Fr Foleyカテーテルを経腟的に膀胱内に留置、牽引して視野出しを行った後、瘻孔周囲の腟壁切除、腟壁と膀胱壁の剥離、膀胱壁の閉鎖、腟壁閉鎖の手順で手術を行なった。術後経過は良好であり術後2週間まで外来フォローを行い終診とした。本症例は3回の帝王切開術既往のある症例であり、膀胱と子宮が強固に癒着していた。癒着剥離の過程で出血に対してエネルギーデバイスで凝固止血を行ったが、この過程で微小な膀胱損傷が生じた可能性が考えられた。TLHではエネルギーデバイスによる膀胱の熱損傷に十分気をつける必要がある。本症例では膀胱腟瘻に対して経腟的膀胱腟瘻閉鎖術を行った。膀胱腟瘻の修復には経腟アプローチと経腹アプローチがあるが、経腟アプローチの方が低侵襲で術後回復も早いため、有効な治療法であると考えられた。

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