抄録
目的 現在、国立公園の管理活動の向上を目的として導入されているパークボランティア(以下、「PV」とする)制度は、単に管理に必要な人員を補う制度であるというだけではなく、国立公園の管理における、行政と市民・住民との新たな関係の枠組みとなる可能性を持つ制度であるといえる。 しかし重要なのは、制度が実際どのように運営され、どのような役割を果たしているのかということである。本研究では、今後、国立公園の管理システムについて考える際の一助となることを目指し、このPV制度の意義と課題を明らかにすることを目的とした。 考察 PV制度はレンジャー不足の現状の中、国立公園管理の質の向上に役立っているといえる。 しかし、実際の運営については地区ごとにその内容は異なるものの、課題を抱えているが、多くの地区に共通の問題として、活動参加者の固定化、やPVの高齢化、活動のマンネリ化などが挙げられ、それらへの対応が求められている。 また、現行の制度では、PV組織は環境省の要望に沿って活動することを求められ、その活動の方向性も事務所によって定められているが、ボランティアによる活動の発展を考える場合、そういったシステム自体すなわち環境省とボランティアの関係のあり方自体も見直す必要があるのではないだろうか。