日本林学会大会発表データベース
第115回 日本林学会大会
セッションID: A18
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T2 従来の育種技術とバイオテクノロジー等新技術との統合による新たな林木育種の展開
Pinus merkusii 育種のためのSSRマーカーの開発
*I.L.G. Nurtjahjaningsih斉藤 陽子練 春蘭津田 吉晃井出 雄二
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抄録
Pinus merkusiiは熱帯のマツ科樹木であり、赤道付近から南半球にかけて分布している。インドネシアにおいては、スマトラ島に3ヶ所天然林があり、アチェ個体群は大きな純林を形成しているが、タパヌリとケリンチ山の2ヶ所は小さく広葉樹との混交林である。インドネシアにおいては本種の育種プログラムが確立されており、ジャワ島の人工林の母樹から採種した種子を材料とした、600家系3,600本からなる実生採種林が96haある。育種と遺伝子保存のためには遺伝的な多様性が重要となるため、実生採種林の遺伝的な多様性を把握することが不可欠である。また、実生採種園における交配様式を明らかにすることは採種園の設計の改善と管理に役立つ。 核SSRマーカーは共優性で多型性の高いDNAマーカーであり、遺伝的多様性、母性・父性解析などに有効であることが知られている。そこで本研究ではPinus merkusiiのSSRマーカーを開発することとした。 P. merkusiiの芽生えを用いて、Lian らの方法(2002)によりマイクロサテライト部位を増幅するためのプライマーセットを12セット設計した。これらのプライマーセットについて、実生採種園の成木64個体の針葉を用いて、増幅の程度や多型性を確認した。さらに、P. merkusiiと同じマツ科の3種P. densiflora (Lian et al., 2000), P. pinaster (Mariette et al., 2001) および P. taeda (Elsik et al., 2000)で開発された既存の12のマイクロサテライトマーカーについて、P. merkusiiに適用可能であるかを検討した。 その結果、P. merkusiiについて12のプライマーセットを設計し、このうち4セットがSSRマーカーとして利用可能であると考えられた。また、既存の12のマイクロサテライトプライマーセットのうち7セットがP. merkusiiで増幅したが、そのうち、5マーカーが適用可能であると考えられた。今後さらに検討を進める予定である。
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© 2004 日本林学会
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