ウッドマイルズは、木材が生産地から消費地まで輸送される距離のことをいい、2002年に提唱された概念である。ウッドマイレージは、この概念に基づき、木材の輸送距離と輸送量を掛け合わせた数値であるが、その性格から、木材流通の動向分析における有効性が期待できる。本研究では、_丸1_公表されている統計書を用いてマクロレベルのマイレージを試算し、その有効性を検討すること、_丸2_計算結果から、わが国木材工業にかかるウッドマイレージの動向を分析することの2点を目的として、国内木材工業(製材・合板・パルプ・木材チップ)の素材入荷と、製材業の製品出荷にかかるウッドマイレージの試算と若干の分析を行った。この指標により、国内木材工業の素材入荷と製材品出荷における物流の動態を全国的なレベルで簡潔に示すことができた。また結果が都道府県別に検討可能なため、木材の入出荷に関する各都道府県の傾向を直感的に理解する一つの指標としても有効である。データの制約などに起因する限界や問題点もあるが、事例調査などによる補強・改善が可能と考えられる。