日本林学会大会発表データベース
第115回 日本林学会大会
セッションID: K01
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T14 森林整備のための方策・展開
スイングヤーダの使用実態と安全作業に関する検討
*今冨 裕樹上村 巧
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抄録

わが国の森林蓄積は成熟してきているが,1,000万haを超える人工林の多くは間伐を必要とする林分である。木材生産のみならず森林の環境保全の面からも積極的な間伐の推進が求められているにもかかわらず,間伐が進んでいないの実情である。わが国における集材は架線系と車両系に大別されるが,架線系では近年,簡易架線方式が多く採用されてきており,その中でもスイングヤーダの導入・活用が増加してきている。しかしながらスイングヤーダによる作業は危険度が高い架線集材の範疇に入ることから,安全の確保に対する十分な配慮が必要であるものと考えられる。そこでスイングヤーダ集材の作業実態を把握し,安全作業法につながる知見を得るために調査を実施した。事業地の地形傾斜は約3分の2が傾斜20°を超える林地であった。しかし10-20°の林地も28%あり,緩傾斜地でも使用されている傾向がうかがえた。索張り方式はランニングスカイライン方式が多くみられたが,ロープ引出しといった重筋労働を要する直引き方式も実施されていた。スパン長の平均値は92m,平均集材距離の平均値は66m,横取り距離の平均値は15.6mであった。集材方向に対する難易度や危険度については,下げ荷の方が作業困難で危険度が高いという回答が示された。スイングヤーダによる集材作業中のヒヤリハットの発生タイプは,機体の転倒・墜落タイプ,機体と材との接触タイプ,材やワイヤと荷掛け手との接触タイプ,材の滑落タイプ,その他に区分され,その中でも機体の転倒・墜落タイプ,材やワイヤと荷掛け手との接触タイプが多く発生していた。また機体の転倒・墜落タイプの発生には集材木の根株・材への掛かり,大径材の取扱い,ドラムやワイヤのトラブルが関係していることが示された。

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© 2004 日本林学会
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