日本林学会大会発表データベース
第115回 日本林学会大会
セッションID: K05
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T14 森林整備のための方策・展開
IKONOSを用いた亜寒帯林のLAI推定の可能性
*白木 紘平日下部 朝子都築 勇人島村 雄一末田 達彦
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キーワード: IKONOS , LAI, NDVI, SR, 苫小牧
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抄録

1.目的葉面積指数とは(leaf area index, LAI)単位土地面積あたりの葉面積のことで、その広域的な値は気候予測モデルのパラメーターの1つとして重要視されるようになった。実際LAIの広域推定には、Landsat TM(解像度30×30 m)などの衛星画像が多く使われているが、1つのピクセルが地表をとらえる面積が広いため不確かさを含んでいると言われている。そこで本研究では、より解像度の高いIKONOSの画像(解像度4×4mのマルチスペクトル画像)ならば、より正確に地表を反映できるのではないかと考え、これを用いたLAI推定の可能性を検証した。2.方法調査地は北海道苫小牧国有林で、トウヒ、モミやカラマツなどの針葉樹の他に広葉樹も多く見られる。衛星画像との対応をとるための地上調査では、サンプルプロットを20箇所とり、その面積は林班の平均樹高の2乗以上とし、短辺を10mに固定した。さらに衛星画像との対応地点を増やすためにプロットを1辺10mの正方形、小区画に区分した。衛星データと照合するために、プロットの位置はGPSまたは、林道からの距離をもとに決定した。また、全20プロットの内15プロットで1本ずつサンプル木を伐倒し、葉重量を測定した。これらサンプル木の葉面積を求めるため葉を一部、研究室に持ち帰り重量あたりの葉面積を測定した。サンプル木の胸高直径と葉面積の関係を、毎木調査で得た胸高直径にあてはめ、足しあげることでプロット・小区画のLAIを推定した。これらのプロット・小区画に対応する衛星画像を切り出し、植生指数を計算した。植生指数にはLAIの推定に頻繁に使用されている正規化植生指数(normalized difference vegetation index, NDVI)と単純比(simple ratio, SR)を用いた。3.結果・考察プロットのLAIに対する植生指数は横ばいとなった。小区画でも同じ傾向があり、53箇所と対応点数も多くより小さい面積で比較したが、比例関係は見られなかった(図_-_1)。このことから、本調査ではLAIと植生指数とに相関がなかったため、IKONOS画像からLAIの推定ができなかった。本調査で得た実測LAIは、平均11.3と非常に大きかった。確認のため、サンプル木の胸高直径に対する葉重量の関係を道内他地域(四大学合同調査班,1960)とカナダ中西部と比較したところ、本調査地は他地域と比べ葉重量の値が高いことが明らかになった(図_-_2)。このように本調査の実測LAIが大きい理由は、回帰式作成に用いたサンプル木が林縁でしか伐倒できなかったためと考えられる。また、衛星画像から得られるNDVIが一様であった理由は、樹冠が閉じたサンプルプロットが多かったため、反射特性に差がみられなかったと考えられる。本調査では亜寒帯林の一部の傾向をとらえたに過ぎないため、他地域でも検証する必要がある。

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© 2004 日本林学会
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