日本林学会大会発表データベース
第115回 日本林学会大会
セッションID: K13
会議情報

利用
H型架線の設計に関する一考察
*近藤 稔
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

本研究で取り上げたH型架線は,エンドレスタイラー式集材架線を2セット並べて架設し,それらの荷上索を結合してアルファベットのHのようにした架線である。近年の高性能林業機械導入による架線離れが言われて久しいが,高知県およびその近隣ではこのH型架線を使った集材作業が結構盛んに行われているという。その理由として,高性能林業機械は十分な道路網の整備があって初めて威力を発揮するものであり,高知県の山間部のように,急峻で複雑な地形なところでは十分な路網整備ができないジレンマがある。H型架線なら土場の選択の余地が大きく,最小限の路網整備で済ますことができる。このH型架線の構造力学を研究した堀らの研究があるが,H型架線を架設する際必要な設計手順が確立しているとは言いがたいのが現状である。その理由として, 2組の架線の位置関係が常に平行に架設できるとは限らないこと,運転操作方法によってH型架線の力学的特性大きく影響を受けいくらでも条件が変わりうること,逆に設計に用いた条件を実際の運転操作で具現することが困難なことである。
そこで今回,現実的な観点から平行でないH型架線の力学特性を検討し,実際の架設の際考慮すべき設計要件とその設計要件を満たす運転操作方法について検討することを念頭に研究に着手した。
H型架線の架設個所は地形的な制約から限られる。そこで,国土数値情報50mメッシュ(標高)を用いてH型架線が架設可能な個所を抽出し,2組の架線の位置関係について調べた。その結果,スパン傾斜角は平均で5度前後,2本の架線がなす角は10度前後であることがわかった。そこで2組の架線が平行で等高に架設されているときをベースに,種々の位置関係に配置した場合の力学特性を検討する。その解法には索を放物線とみなす近似解法を用い,2組の架線を結んだ荷上索の力の釣り合い条件からそれぞれのエンドレスタイラー式架線にかかる力の大きさと方向を算定し,その傾斜荷重を受ける架線の解法を使って諸索の張力を算定するもので現在プログラムを開発中である。

著者関連情報
© 2004 日本林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top