森林バイオマス資源の欠点として,「かさ張る」ため効率的な運搬・輸送ができないことが挙げられる。そこで森林バイオマスのエネルギー利用にあたっては,粉砕工程の導入が必要となる。近年ではわが国でも,主に産業廃棄物処理の観点から,粉砕機(チッパ)の導入・普及が進んでいる。チップ生産コストは,機械のサイズが大きくなるほど低くなることが期待されるため,開発・造成工事等を実施する建設・土木業界においては,大型の樹木破砕機(タブグラインダー)を導入し,発生する大量の廃木材を処理している。
一方,わが国の林業に目を向けると,「平成14年度林業機械保有状況調査」において,保有台数が278台(平成15年3月31日現在)と報告されているように,粉砕機自体の導入が十分ではない。現在までに,大型チッパによる作業の事例は報告されていない。しかしながら,今後,エネルギー源として森林バイオマスが必要とされる場合に向け,粉砕機の作業能率を機械のサイズ別に把握しておくことは有効であろう。本研究では,大型チッパによる森林バイオマスの粉砕作業に関する事例について報告する。