抄録
筆者らは標準地法における調査区の大きさについて再検討を行ったが(日林誌94巻3号),これは標準地の面積や本数についての基準を提案したものであり,調査対象林分内のどこに何か所の標準地を設定すべきかについて答えを与えるものではなかった。人工林の林分内における立木密度や単木サイズの不均一性は,地形,苗木の形質や植栽位置のばらつき,間伐,被害,他樹種の侵入などに左右されていると考えられ,一般的な議論は難しい。ただし,同一林分内でも,斜面の上部より下部のほうの樹高が高いのは経験的によく知られていることであり,その原因として斜面上部と下部の土壌環境の差異などを調べた研究も行われてきた。もし調査対象林分での斜面上部と下部の樹高差が何らかの方法で予測できれば,単一の標準地でよいか,複数の標準地を設定すべきか,あるいは斜面傾斜方向に長い帯状標準地を設定すべきか,などの判断材料になると考えられる。このような観点から本報告では,関東~中部地方のスギ,ヒノキ,カラマツ人工林を対象にして,同一林分内の斜面位置による樹高差や,その樹種や林齢などによる違いを,固定試験地のデータや既往研究の結果から検討する。