日本森林学会大会発表データベース
第124回日本森林学会大会
セッションID: A25
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造林
高性能タワーヤーダで集材した人工林における林床植生の変化
*酒井 敦野口 麻穂子酒井 寿夫
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抄録

高知県香美森林組合では森林・林業再生プラン実践事業で下線系の高性能タワーヤーダを導入し、作業効率の検証を行っている。本研究では高性能タワーヤーダを使った間伐作業(架線を張った主索下は列状間伐、その左右約30mの範囲は定性間伐)が林床植生にどのような影響を与えるのか調べた。調査地は高知県香美市谷相地区の45年生ヒノキ林およびスギ林である。2011年11月に本数当たり約15%の間伐を行い、上げ荷による全木集材を行った。間伐後の開空率はスギ林16.7%、ヒノキ林18.2%、主索直下19.0%で、スギ林で有意に低かった。土壌露出率はスギ林ヒノキ林ともに伐倒・集材時に生じた枝葉により間伐前より減少したが、主索直下では露出率が大きかった。ヒノキ林は間伐前常緑広葉樹(シイ・カシ)が多かったが間伐時の下刈りにより激減した(54%→4%)。スギ林は間伐前から植生が少なく、間伐後の回復も僅かであった(1.4%→1.7%)。一方、主索下は上空の疎開と土壌の撹乱によりベニバナボロギク、クマイチゴ等先駆種が多く発生していた。高性能タワーヤーダを使った全木集材は主索直下を除けば、林床植生に与える影響が小さかった。

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© 2013 日本森林学会
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