日本森林学会大会発表データベース
第124回日本森林学会大会
セッションID: A33
会議情報

日本森林学会・日本木材学会 合同シンポジウム 「これからの木材利用と森林施業 ―木質資源のカスケード利用を目指して―」
これからの素材生産・流通の観点から
*久保山 裕史
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

戦後しばらくは、国産丸太供給の資源的制約に対して、旺盛な復興需要があったため、材価は高止まりしていた。住宅の多くで構造材は現しとされたこともあり、製材品は見た目が重視されていた。結果として、林業経営においては無節の尺上丸太を生産することが目標とされてきた。しかし、50年以上の時を経た現在、国産丸太の供給力は高まったのに対し、木材需要の減少や円高が進行したことによって材価は低下している。また、住宅の工法の変化によって、見えがくれ材が主流になり、強度や寸法精度が高く、安価な並材製材品が求められるようになった。つまり、住宅構造材のマス市場は高価な見えがかり材から安価な並材へと変化してきた。今後の国産材需要拡大を考える上では、そうした変化に合わせて、木材のマーケティング戦略を練っていく必要がある。そこで、本発表では、木材の市場をマスとニッチに区分し、マス市場戦略としては国産材加工コストや原料丸太の低コスト安定供給の方向性について提案する。ニッチ市場戦略としては、特化して対応する必要があることや、ニッチ市場をマス市場に変える取り組みの重要性について述べる。

著者関連情報
© 2013 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top