抄録
カナダ北西準州の亜寒帯林において森林火災後天然更新した、林齢の異なるバンクスマツ(Pinus banksiana)3林分において2004年以来数年間隔で細根生産量、地上部リター量、および林分構造を測定するとともに、細根生産量を含めた過去の純一次生産量を年輪データなどから推定することを視野において、これら変数間の定量的関係を吟味した。細根生産量は細根イングロースコアによる細根現存量と枯死細根量の2年間の変化から推定した。地上部リター量はリタートラップを設置し、年一回のリター回収から求めた。林分構造と現存量は5年おきに毎木調査をおこない推定した。細根現存量変化量は林分の葉現存量変化量と相関があった。枯死細根変化量は林分の葉現存量と相関があった。したがって、細根現存量と枯死細根量を合わせた細根生産量の推定値は葉現存量とその変化量とから推定できる可能性がある。これら二つの変数は年輪情報から得られる樹幹形から推定できるので、過去にさかのぼって林分の細根生産量が推定できるかもしれない。ただし、年により、林分により、これらの関係から外れる場合も観察されることがあるので、さらなる吟味が必要である。