抄録
閉鎖した森林の葉量は樹種ごとにほぼ一定とされているが、ブナでは豊作年に落葉量が減少する年変動が確認されている。上層林冠の葉量が変動することによって林床へ届く光量は変化し、下層植生に影響を与えることが考えられる。そこで、林齢約100年のブナ二次林内にリタートラップを設置し、18年間の調査で得られた葉量データから過去の林内光量の年変動を、光の減衰に関するBeer-Lambertの法則で再現した。また、変動する光環境が下層植生に与える影響を、光環境とブナ低木の胸高断面積(BA)成長量の年変動との関係でみた。その際、貯蔵養分に依存して成長するブナの成長特性に注目し、当年の光環境に対して当年~5年後のBA成長量を対応させた。調査の結果、18年間で落葉量が約2~3t/haの間で変動し、豊作年に合わせて落葉量が減少傾向にあった。また、葉量データから再現した林内光量は、約4~12%の間で変動し、葉量が減少傾向にある豊作年は林内が比較的明るいことが推定された。当年の光環境と当年のBA成長量との間に有意な相関はみられなかったが、当年の光環境と翌年と2年後のBA成長量との間には有意な正の相関がみられた。