抄録
過密な針葉樹人工林に対する強度間伐が広葉樹の定着に及ぼす影響
-間伐後5年間のモニタリング調査結果-
石川県農林総研
小谷二郎
【目的】過密な針葉樹人工林に強度間伐を行い、広葉樹の定着過程を5年間追跡調査し、その効果を検討した。【方法】調査地は、石川県内40か所の針葉樹人工林(スギ林:32か所、アテ林:4か所、ヒノキ林:4か所)である。2008年に強度間伐を実施した林内に10m×10mのプロットを設置し、2009~1012年に高木広葉樹の生存と成長を個体識別法によって調査した。【結果】数か所を除いて、間伐後5年経過した時点においても種数・本数密度とも増加傾向にあった。造林樹種ごとの平均種数および平均本数はアテ林>ヒノキ林>スギ林の順であったが、スギでは林分間でのばらつきが大きかった。また、母樹からの距離も影響が強く、とくにケヤキ・イヌシデといった風散布種子の母樹が周辺に存在する場所では、豊作年に急激に増加する傾向がみられた。広葉樹の平均成長ではスギ林>アテ林>ヒノキ林の順であった。過密人工林に対する本数間伐率40%以上の間伐は、広葉樹の侵入と定着を促進していた。