抄録
樹木の持つ抗菌作用は、「フィトンチッド」の名称などで注目され、葉などから発散される揮発性物質によって微生物の活動を抑制する効果が考えられている。ヒマラヤスギ(Cedrus deodara)にはセスキテルペン類が芳香成分として含まれる他、カツラ(Cercidiphyllum japonicum)の葉からもマルトールを主とする甘い香りがすることが知られている。本研究では、ヒマラヤスギおよびカツラの葉から放出される芳香成分の抗菌効果について基礎的な知見を得る事を目的とした。
供試木は東京農業大学構内に植栽されているヒマラヤスギとカツラを用い、実験は6月と8月の2回行った。枝を縦横25cmのプラスチックバッグで密封し、芳香成分を一晩トラップした後、枝を切り落として採取した。LB培地の入ったシャーレ中央に大腸菌とブドウ球菌各10μl分を植菌し、そこにシリンジに10ml吸引した気体を、先端にディスクフィルター(0.2μm)をつけた上で吹き込み培養した。その結果、採取時期および樹種によって菌の面積拡大率が異なり、特にカツラにおいてブドウ球菌の成長を抑制する傾向が認められた。